私の声はあなたとともに My Voice Will Go With You

My Voice Will Go With You(私の声はあなたとともに)
というのは、ミルトン・エリクソンがある女性に退行催眠を掛けて幼い子供だった頃まで戻すときに口にした言葉です。催眠状態では催眠を掛ける人の声に意識が集中しており、暗示を受け入れやすい状態になっています。そこでは催眠を掛ける人の声が絶対的な意味を持ちます。
エリクソンは言います。
「そして、私の声は常にあなたと共にいます。私の声は、あなたのご両親の声にもなるし、近所の人にも、あなたの親しい友達にも、学校の友達にも、あなたの遊び友達にも、あなたの先生にもなります。…」
エリクソンはクライエントに対して、あるいはセラピストに対する教育の場で、逸話を好んで用いたことで有名ですが、この「私の声はあなたとともに」という本は、彼が好んで用いたその逸話を集めたものです。中身はというと、実際にクライエントに対して行った治療内容であったり、治療効果のあるメタファーだったりといろいろです。
私はこの本を読んでいると、子供のころイソップ寓話を読んで楽しんでいたのと同じ感覚になります。最近は、自分に対するベッドタイムストーリーとして、一話分読んでから寝るようにしています。
エリクソンの技法について解説した本はたくさんありますが、ミルトン・エリクソンがどんなセラピーを行っていたのかの具体的な実例を知りたければこの本がお勧めです。何しろ本人が好んで語ったストーリーですから、これ以上ストレートにミルトン・エリクソンのメッセージを受け取れるものは他にはないでしょう。
My Voice Will Go With You: The Teaching Tales of Milton H. Erickson, M.D.
私の声はあなたとともに―ミルトン・エリクソンのいやしのストーリー
アマゾンのレビューで、どこがシドニーローゼンの解説でどこがミルトンエリクソンの言葉かがわからない!という不満の声がありますが、原書ではローゼンの言葉はイタリック体で印刷されていて紛れはありません。

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