催眠誘導やNLPで重要な事柄として、ペーシングとリーディングという考え方があります。まず相手に合わせるのがペーシング。ペーシングによりラポールを形成し、その後で今度は相手を導くのがリーディングです。
ペーシングのテクニックとしてマッチング&ミラーリングがあります。自分の動作を相手の動作に合わせたり(マッチング)、鏡に映った像であるかのように真似をしたり(ミラーリング)するわけです。これはわざとやっていることが相手にばれると逆効果で、ラポール形成どころか「何やってんの?」と非常に不愉快に思われるだけです。絶対に相手に気づかれないように行うことがポイントです。
マッチングとミラーリングは、気の合う友達と一緒にいるとき、すなわち自然とラポールが形成されているときに、無意識のうちに実現していることが多いです。座っている場合、足を組みなおすタイミングが同じだったり、腕を組むのが同時だったり、姿勢が同じようになっていたりします。
NLPではこの現象を利用して、意識して動作を合わせることでラポールの形成を図ります。動作に限らず、服装や姿勢、言葉遣い、声の大きさ、話すテンポなど様々なことに関してマッチングできます。
中でも重要なのが、呼吸を合わせることです。相手が息を吐いているときに自分も吐き、吸っているときに自分も吸うのです。呼吸のタイミングは、相手の呼吸に伴う身体のわずかな動きを注意深く観察するとわかります。
マッチングによりラポールが形成されることが、リーディングにおいていかにパワフルであるか、デレン・ブラウンのこのデモンストレーションが示しています。
カフェの客に対して、デレン・ブラウンが気づかれないようにマッチング&ミラーリングを行います。一人目の客では失敗。二人目の客もリーディングにしっかりついてきませんでした。そして、3人目。
無意識のレベルでラポールが成立した後、今度はデレン・ブラウンがリーディングを行います。このお客は、無意識のレベルでデレン・ブラウンのリードに従うようになっています。
デレン・ブラウンにリードされて、この被験者はどこまで行ってしまうのか?
なんと、デレン・ブラウンは赤い風船を持った女の子が表に立っている家電屋さんに入り、お金を払わずに商品を持ち出すように催眠暗示を入れてしまいます。
そして、催眠暗示を入れられた青年のとった行動は?
一般的には催眠術を掛けて人に犯罪行為をさせることはできないと、説明されます。デレン・ブラウンはこの仮説をひっくり返すようなチャレンジを試みるのが好きなようです。